X-Pro2のAF設定について考えてみる。

AF設定は合わせ方と合わせる範囲の組み合わせ。

AFを考える場合、どのように合わせるかとどの範囲にピントを合わせるかというこの二つの要素の組み合わせになる。この組み合わせを被写体によってどう使い分けるのが良いかを整理してみよう。FUJIFILMでは合わせ方を「フォーカスモード」、ピントを合わせる範囲を「AFモード」と呼んでいるためちょっと分かりにくい。どっちもオートフォーカスのことで、どっちもモードでって???となる。要は他社で言うところのフォーカスモードとAFエリアモードのこと。

 

X-Pro2のフォーカスモード切り替えレバー

フォーカスモード切換レバーで合わせ方を選択。S:AF-S | C:AF-C | M:マニュアル

 

AFの合わせ方は2種類

1)AF-S:被写体に対してシャッターボタン半押しで一度だけフォーカスを合わせる。

2)AF-C:シャッターボタンを半押ししている間、常に追従してフォーカスを合わせ続ける。

 

X-Pro2のフォーカスエリア選択画面

フォーカスエリア選択画面 | シングルポイント2段階拡大 | 273点
インテリジェントハイブリッドAFとはTTLコントラストAF+位相差AFのこと。

フォーカスエリア

1)シングルポイント
選択したフォーカスエリアポイント1点にのみフォーカスか、5×5のポイントの中心を結んだ範囲まで5段階で拡大設定できる。シングルポイントなので拡大しても測距点は1点と考える。

2)ゾーン
設定した範囲の中のフォーカスエリアポイントにフォーカス。「7×7」「5×5」「3×3」の3種類の範囲を選べる。測距点は複数。

3)ワイド/トラッキング
77点すべてのフォーカスエリアに対して自動でフォーカス。AF-Sの際はワイド、AF-Cの際はトラッキングとなる。

 

※X-Pro2ではシングルポイントに設定している時のみフォーカスエリアポイントを77点か273点かを選択できる。ゾーン、ワイド/トラッキングの場合は77点しか選べない。

※フォーカスエリアはシングルの場合は1点、ゾーンの場合はその設定範囲にある複数のフォーカスエリアポイント、ワイド/トラッキングの場合は77点のフォーカスエリアポイント全てのことなので、設定によってシングルポイントから全てのポイントを指す。さらに、測距点を指すフォーカスエリアポイントって言葉が分かりにくくしている。フォーカスポイントかフォーカススポットの方が分かりやすんじゃない?ポイントとエリアを分けて考えにくいよ。

 

組み合わせと使用シーン

AFモード(合わせ方)とフォーカスエリア(合わせる範囲)の組み合わせを、どんなシーンで使い易いかを個別に整理してみる。全部を横並びに考えると難しくなるので、AF-Sの場合はシングルポイント、AF-Cの場合はゾーンを基本の設定として、その他の設定はオプション的に捉えると良いかもしれない。

 

<AF-Sの場合>

1)AF-S+シングルポイント
シャッターボタン半押し時に、選択した1点のフォーカスエリアポイントに一度だけフォカースする」ので基本的には静態またはあまり動いていない被写体に対し、しっかりとピントを合わせて撮るための組合わせ。基本はこれだよね。

2)AF-S+ゾーン
シャッターボタン半押し時に、設定ゾーン内にある複数のフォーカスエリアポイントに一度だけフォーカスする」のでやや大まかな範囲でのピント合わせとなる。シングルポイントでは捉えきれない、やや動きのある被写体に対して有効。(AF-Cのように)連続的には追わないが、エリアを広くすることで対応する感じ。X-Pro2では、77点のフォーカスエリアポイントの中から「7×7」「5×5」「3×3」の範囲のゾーンを選択できる。人物中心のスナップ撮影時などに。

3)AF-S+ワイド(ワイド/トラッキングにおいて、AF-S選択時はワイドとなる)
シャッターボタンを半押し時に画面内にあるコントラストの高い被写体に対し複数のフォーカスエリアポイントにフォーカスする」ので、画面のいたるところに動き回る被写体がある場合などに有効。ピントが合う位置はカメラ任せになるが、狙って撮るのが難しい初心者にも便利。フォーカスエリアポイントは77点。例えば、池に泳ぐ沢山の錦鯉を撮るなんてシーンに向いてる。そんなのそう多くないだろうけど、まぁそういう条件の時にってことで。

 

<AF-Cの場合>

4)AF-C+シングルポイント
シャッターボタン半押中、選択した1点のフォーカスエリアポイントにフォーカスを合わせ続ける」ので、動くものに対してピンポイントでフォーカスを合わせたい場合の設定だが、左右に速く動くものだと1点では捉えきれないので、前後に(近づいたり離れたりするような)直線的に動くもの、かつ限定的な場所にピントを合わせたいようなシーンに有効。具体的には運動会で走る子供を正面から捉えるような使い方。

5)AF-C+ゾーン
シャッターボタン半押し時に、設定ゾーン内にある複数のフォーカスエリアポイントにフォーカスし続ける」ので、設定ゾーン内に被写体を捉えられる程度の動体撮影に有効。手持ちで動体を追うような場合はこのモード。X-Pro2では、77点のフォーカスエリアの中から「7×7」「5×5」「3×3」の範囲のゾーンを選択できる。モータースポーツ系や動きのあるパフォーマンスなどを連写で撮るとかかな。上下左右へ動いたり、動きの予測が難しい場合はこのセットしかない。動きが激しいほどエリアを広げて対応。

6)AF-C+トラッキング(ワイド/トラッキングにおいて、AF-C選択時はトラッキングとなる)
シャッターボタン半押し時に、77点の全フォーカスエリア内で被写体の動きと位置に合わせてフォーカスをトラッキングし続ける」ので、フレーム内で移動する動体をトラッキングするような撮影に有効。例えば、三脚を使って構図を固定しながら、フレーム右下隅から入ってくる遠くの電車をフレーム一杯になるまでフォーカスをトラッキングするなど。この場合、フォーカスエリアは範囲ではなくトラッキング開始点と考える。上記例で言えば、右下隅にフォーカスエリアを設定し、電車がそのポイントに入った時点でシャッターボタンを半押ししたままトラッキング、そして連写、または狙った構図になった時点でシャッターを押すといった流れ。

X−Pro2ではないのですが、Youtubeに「新AFシステム」として公式動画がアップされています。これを見るとイメージしやすいよ。

本記事は付属の使用説明書とAUTO FOCUS SYSTEM SPECIAL SITEを参考に、自分なりに実際に使用した感想を踏まえてまとめたものです。こちらも参考にどうぞ。

 

<その他>

フォーカスモードがAF-Cに設定されていて、高速連写(8.0fps)の場合はフォーカスエリアが中央の7×7に制限される。

また、人物撮影の際、「瞳」にピントを合わせる「瞳AF」がある。左目優先、右目優先もできる。顔検出と併用するれば、便利に使えるシーンもある。

シングルポイントを拡大設定した場合とゾーン設定した場合の使い分けが理解できていない。フォーカスエリアポイントが1点か複数かの違いとして、どう使い分けるのだろう。あと、シングルポイントを拡大した場合、被写界深度が浅い時はどうなるのかな?

 


 

以上、AF設定の各組み合わせについて整理してみました。それぞれ特性を理解して、瞬時に変更できるようになるにはちょっと慣れが必要かも。なんというか、名称がややこしい。フォーカスモードにAFモード、シングルAFとシングルポイント、設定により異なるフォーカスエリア、似たようなフォーカスエリアポイント・・・。特にビギナーなら1度だけピントを合わせるシングルAFと1点にフォーカスするシングルポイントを分けて考えないと混同する。シングルAFって言われると1点にオートフォーカスすること!ってなりがちだ。ワイド/トラッキングも、どちらも77点のフォーカスエリアポイントを使うけど、フォーカスモードがSかCかによって「広い」と「追尾」に意味が異なるのもとっさには分かりにくい。

例えば

AFモード→AFエリアモード(AFモードだとフォーカスモードと混同するので「エリア」を入れ)
フォーカスエリアポイント→フォーカスポイントorフォーカススポット(点を意味するものなのでエリアを外す)
と分かりやすく名称変更し、

AFエリアはシングルかゾーンのどちらかを選択する形として、ゾーンの選択範囲として「77点全部」「7×7」「5×5」「3×3」があり、

トラッキングは独立させてメニューで設定。

なんて方が分かりやすくない?ワイド/トラッキングがあるから複雑になってて、系統立てて考えにくい。単純に、フォーカスがシングルかコンティニュアスか、そしてフォーカスの範囲はどうするかを設定するだけにして、特殊なトラッキングを独立させればかなり簡単だと思うけど。

 

今回はあまり写真がなくて堅苦しかったかも。記事を書いているうちに自分でもだいぶAF関連について整理できたかな。それでは、また次回!